いろいろないちにち 文化出版局

いろいろないちにち


「いろいろないちにち」は、中村まさあきさんの絵本です。
ほぼ字はありません。「ごぜん にじ」「ごぜん よじ」「ごぜん ろくじ」…と2時間おきの町の風景が描かれています。
絵を見れば見る程、新しい発見があります。小さい子でも楽しめます。
この絵本は、じっくりじっくり見てほしいです。見れば見る程好きになります。
ページを行ったり来たりしながら楽しんで下さい。
「この時間はまだおねしょは乾いてないね。」「この人夜更かししてるよ!」「レストランの猫、この時間はここにいる!」など、おもしろい事をたくさん見つけることができます。
パラパラっとページをめくって終わりでは、「いろいろないちにち」の本当の面白さはわかりません!
絵本の最後に、「ありそうな町 あとがきに代えて」と大人向けのページがありますが、このページの内容も子どもに教えてあげてほしいです。「いろいろないちにち」に出てくる一部の人の家族構成や仕事の事、どんな性格か…などのちょっとした物語が書いてあります。「あとがきに代えて」を読むと一層楽しくなります。
「いろいろないちにち」に登場するたくさんの人の物語を考えてみるのも楽しい遊びです。
私に子育てのことをたくさん教えてくださった幼稚園の園長先生は、「ものにはそれぞれ物語があり、それを感じることが大切なのよ。」とおっしゃっていました。
今の時代、分からないことはインターネットで調べることが多くなりました。自己完結してしまうことがほとんどです。
そんな時代の流れを懸念して、園長先生がこんな話をしてくれました。
「昔は、これはどうやって使うのかな?お母さんはこんな風にするって言ってたな。お父さんはこうしてた。おじさんはちょっと違ってたかな?って一つのものを色んな角度から見ていたのよ。そしてそのもの自体に物語が生まれていたのよ。例えば車のハンドルでも、電話の受話器でも、一つ一つに一人一人違う物語があったの。自分が使う時、その物語を思い出して、大切に使うことができたのよ。そういう物語を感じることができると、人にも思いやりをもって接することができるようになるの。」
人に道を尋ねたり、物の使い方を聞いたり、反対に聞かれたりする経験が少なくなってきました。スマホ一つ持ち歩いていれば、一人で解決できてしまいます。そういう生活の中では物語が生まれにくくなります。
分からない事がある時、「ネットで調べよう。」と簡単に済ませようとします。私もそうしてしまう事がよくあります。そうすることで、誰かに聞いたり、図書館で調べたりする手間を省略してしまっています。子どもの立場になってみると、「お母さんは分からないことをこうやって人に尋ねて教えてもらっているな。」「こんな本を読んで調べるんだなぁ。」と、身近な人の行ないを見て考える機会がなくなっています。残念な事だと思います。ネットはすぐに調べる事ができて便利ですが、手間がかかり面倒だと思えるような経験こそ、子ども時代にたくさんさせてあげたいと思います。
無駄だと思える時間の中で物語が生まれて、将来何かの形で生きてくるのではないかな、と思います!

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