思うだけでは伝わらない

家族のような近い関係の者が一緒にいる時、言葉を多く語らなくて気持ちが通じ合います。
言葉を使わなくても、相手の言いたい事やしてほしがっている事が分かります。
特に親子関係だとそうでしょう。お母さんは、子どもが言葉を話す前から子どもと通じ合っています。「今、眠たいんだな。」「おなか空いてるんだな。」と親は子どもの様子を見て考えながら、子育てしていきます。
そうして子育てしているうちに、無意識のうちに親は「子どもは今こんな状態に違いない。」とか「子どもはこうしてほしがっているに違いない。」と考えてしまいます。それは、時に間違っていることがあります。
子育ては、子どもの成長とともに変化させなければいけません。以心伝心で分かり合えると思い込まず、言葉でしっかり伝える事を意識する必要があると思います。
例えば、夕食が麻婆豆腐だとして、一番小さな子には豆板醤を入れずに作ってから、大人の分は辛く仕上げたとします。一番小さな子には料理を出す際に、その事をきちんと伝えなければいけません。「あなたは辛いのがまだ食べられないから、甘めに作ったのよ。」と言葉で言いましょう。子どもは、「お母さんは自分のためにこんな風にしてくれているのだなぁ。」とはっきりと分かります。
スープを出す時、「お父さんは熱いのが好きだからね。」「お姉ちゃんは冷ましてからじゃないとなかなか飲めないから早めについで冷ましておいたよ。」などそれぞれの人への気遣いがある事を声に出して伝えましょう。小さい子どもが飲まないコーヒーをいれる際も、「あの人はいつもブラックね。」「あの人はミルクだけ。」など、好みの違いを分かって出してあげると喜ばれることを教えてあげましょう。
子どもの朝の準備が遅い時、黙って手伝うのではなく、「今日はお母さんが食器の後片付けはするから、置いておいて。あなたは◯◯しなさい。」と言いましょう。子どもが自分で自分の洗濯物を畳む余裕がない時は、「今日はお母さんが畳んでおいたよ。」と言います。生活の中の細かな事ですが、伝えていってほしいです。
私に子育ての事を教えてくれた園長先生は「子どもには恩着せがましく言うくらいがいいのよ。」とおっしゃっていました。そうすると、「お母さんは僕のためにここまで考えてくれてるんだ。」「お母さんは私が食べやすいようにしてくれてるんだ。」と子どもにすんなりと伝わるそうです。
黙って何でもあれこれやっていると、子どもはやってもらって当然だと思うようになります。
子どもの為と思ってしてきたことを、「してもらって当然だ」という態度をとられては、腹が立ちますね。言葉で伝えることで、当たり前ではないことが子どもに分かると思います。
また、「あなたは私にとってとても大切な人だ」という気持ちもきちんと言葉で伝えていってほしいです。普段言わなくても、一緒に生活していれば、そんなこと当然に分かり合えているだろうと思いがちです。
けれど、意外と分からないものです。
私は、そういう言葉を掛け合うことのない家庭で育ちました。私は兄に「いつも分からない事を教えてくれてありがとう。」という感謝の気持ちや、「辛い時力になるよ。大切に思っているよ。」という気持ちを常に心の中では思っていました。何かの折に「ありがとう」は言うものの言葉足らずでした。兄が亡くなってから、「どうして声に出して、兄に伝えなかったのだろう。」と後悔しました。亡くなってから、兄へ伝えたかった思いを手紙に書いて棺おけに入れました。それでは遅いですね。生前に真剣な思いを話しておけば何かが違ったかもしれません。
思ってるだけでは十分ではありません。大切な人には必ず言葉で思いを伝えてください。

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