私の子育て環境

私の子育て環境は、良いとは言えない家庭でした。夫婦円満な家庭でありませんでした。
子育てする上で、理解ある優しい祖父母がいたり、協力的な夫がいたり、何でも話せる親友がいたりすれば、きっと心強いし安心して生活できるでしょう。でも、そんな素敵な家庭ばかりとは限りません。どんな状況でも、這いつくばってでも、子どもを育てていかなくてはいけません。
理想的な家庭でなくても、環境でなくても、母親が子どもの基地となって守ってあげればきっと子どもは健やかに育つでしょう。母親の元にいれば、子どもが心から安心することができる。そんな親子の信頼関係が築けていれば、子どもは逆境もはねのけて大きく成長していくことができると思います。
娘が小学校1年生、息子が3歳の時に悲しくて辛い出来事が重なりました。私の兄は自殺しました。悲しみで家事も手につかないほどでしたが、主人は理解してくれませんでした。「夕食、手抜いてるなんでなん?おかしいわ」と兄が亡くなってからひと月も経たないうちに私に言いました。主人の妹はとても優しい子で、兄の死後初めて会った時に、「だいじょうぶ?心配しているよ…」と声を掛けてくれました。その言葉は、私が兄の事で落ち込んでいる事を心配してかけてくれたからなのですが、主人は「妹はなんでお前の事心配していたのか?」と意味がわからないという風に話していました。
兄の死から一月半経ったある日、主人が子どもと話をする時に子どもの顔を見ずに携帯電話だけを見ていることを注意しました。すると、主人は激怒して、「離婚する」と言い出しました。私の事を、「人間じゃない」「育ちが悪すぎる」「人としておかしい」と罵りました。毎日がとても苦しくて、兄の死で悲しんでいる両親や姉には言い出しにくかったのですが、私は姉に助けを求めました。そして姉がDV相談所などに電話を掛けて私の状況を説明してくれたりして、私が今までの結婚生活で精神的暴力にあっていたのだという事が分かりました。その後両親にも話をしました。両親は「離婚するならすればいい。お金の心配ならしなくていい。」と言ってくれて、私は安心する事ができました。
主人は当初、「お前が家を出て行け」と私を追い出そうとしました。けれど、私は家をどうしても出て行きたくなかったので、拒否し続けました。私の実家は遠いので、実家に帰れば娘は転校しなければならないし、小学校に入学したての娘に負担をかけたくなかったからです。また、ご近所さんは良い方ばかりで、友達にも恵まれていたので、この土地を離れたくない思いが強かったのです。近所の賃貸住宅を探しながら、主人の様子をみる事にしました。
すると主人は、「お前が出て行かないのなら、俺が出て行く。この家に住みたいなら住めばいい。」と言い出して、私はホッとしました。『あぁ、これからは自由になれる。気を使わずに生きていける!』と嬉しい気持ちになりました。それからは、「いつでも出て行きたいのならどうぞご自由に」と思いながら生活しました。長年精神的暴力を受けてきたので、主人目の前にすると怯えてしまうのですが、主人がいない時は私の気が強くなってきました。
「まず離れる事が大切だ」とDV相談所の方に教えられました。避難所に住む事を勧められたのですが、それはしませんでした。主人が家にいる時間は自室で過ごしました。当時、主人は帰りが遅かったので、夜は子供たちと先に寝ることにしました。おかげで同じ家にいるのに、ほぼ顔を合わすことなく生活することができました。
こうやって、主人と顔を合わさないように生活するうちに、私は主人から細かな事で怒られる事がなくなって、私自身がとても楽になりました。
それまでの主人は、「仕事で使うから月の後半の新聞とっといて」と言ってきて、私が「後半って20日くらいから?」と聞くと、「そんなん俺にも分からんわ!」と本気で怒り出す事がありました。また、主人が「仕事でこんな大変な事があった。伊藤さんが…………」と後半の部分が声が小さくて聞き取れない時に、「伊藤さんが何て?」と聞き返すと、「もうお前には話さん。つまらん奴だ。」と怒り出したりする事がとても多かったのです。こういう会話を繰り返すうちに、私は主人が話しかけてきた時にどう返したらいいのか分からなくなっていました。
主人と極力関わらないように生活するうちに、「結婚前から上の子が小さな頃まであんなに優しかった主人はもう死んだんだな」と仲が良かった頃の主人はもういなくなった事を受け入れました。私は、主人も亡くなったのだと思うようになりました。
主人が家を出る日を決めて、「この日に出て行くからな!」と宣言していたので、私は覚悟していました。私の気持ちは楽になるけれど、子どもたちは辛いだろうなと心配でした。
けれど、期日が過ぎても主人は出て行きませんでした。主人が出て行くの待つ日が続きました。ある日、「お前はこれからのことどう思ってるん?何にも言わんから分からん。俺が出て行ってもいいのか」と主人が話しかけてきました。私は、「あなたが私と一緒にいるのがどうしても嫌で出て行きたがっているんだから、出て行ってもしょうがないと思ってる。」と言いました。主人は「ふぅん。」と返事しましたが、その次の日「やっぱ出て行くのやめるわ。子どももおるしな」と言いました。
結局主人は家を出て行きませんでした。
私は主人が出て行くこと期待していたのですが、「出て行かない」と言われた時は何故だかホッとしてしまいました。
それ以降も、やっぱり主人からひどい事を言われる事は相変わらずありました。
変わったのは私の気持ちでした。私を守ろうとしてくれた人、私の助けになろうとしてくれた人がたくさんいました。遠くに住む友人は、いつもはメールでのやりとりばかりなのに、電話をかけてくれたり、手紙を書いてくれたりして、私を気遣ってくれました。お世話になっている園長先生は、私をご自宅に招いてくれて親身になって話を聞いてくれて、私の良いところをたくさんあげて褒めて下さいました。たくさんの人たちに温かい言葉をかけてもらったり、励ましてもらったりして、言葉が人の心を生かすものだという事が分かりました。
人は生きる力を言葉からもらっているのだと思います。幼い頃から良い言葉を声に出してたくさん話すこと。家族や友人とたくさんおしゃべりをして、言葉をたくさん聞くこと。そういう経験を積み重ねていくと、辛い時や苦しい時に、その言葉を思い出して勇気がでたり希望をもてたりするのだと思います。人とのつながりは、自分でも思いがけない時に大きな助けになります。
私は兄は亡くなって、両親も親として素晴らしい人とはとても言えないような人でしたし、姉は両親と不仲。主人からは精神的暴力を受けていました。だからこそ、今から育っていく子どもたちが幸せを感じながら生きていけるようになることを心から願います。兄のように悲しい人生を歩まないように、私の両親のようにあとで自分の子育てを後悔して苦しまないように、姉のように両親を信頼できない大人にならないように、主人のように人に共感することができない大人にならないように…。きっと、子育てのやり方一つで日本の将来は変わると思います。親も子も自分勝手な人がたくさんいます。教師もわいせつ行為や暴力で問題になったり、学校ではいじめ問題も深刻です。改善されるどころか、どんどん悪い方向に進んでいるような気がしてなりません。子どもを育てるためにまず親を教育することが、とても大切なことだと思います。

コメント

  1. fansy より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ブログ訪問ありがとうございました。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

  2. かがやき より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
     こんばんは。かがやきです。
    「言葉が人の心を生かすものだ」
    「人は生きる力を言葉からもらっている」
    という上田さんの言葉、そうだよなぁという気持ちで読ませて頂きました。そして、
    「今から育っていく子どもたちが幸せを感じながら生きていけるようになることを心から願います」
    という言葉からは、上田さんの誠実さや強い決意が伝わってきました。
     私もそういう気持ちでがんばっていきたいと上田さんのブログを読ませて頂いて、改めて思いました。

  3. 上田 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    初めまして、上田です。コメントありがとうございます!
    こちらこそよろしくお願いします。

  4. 上田 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    おはようございます!コメントありがとうございます。
    ことばに傷つけられたり、励まされたり。
    私は、ことばの大切さの本当の意味に気付くのが遅すぎました…。
    子供たちには幸せになってほしいです!
    同じ思いの方がいらっしゃってとても嬉しいです。