子どもの嘘は悪いのか?『おこさまランチがにげだした』の感想

児童書
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角野栄子さん作の「小さなおばけシリーズ」は1979年に「スパゲッティがたべたいよう」で刊行されて以来40年、たくさんの人に愛され続けました。幼児から小学生低学年にぴったりの児童書です。

 

その作品の中で、私が好きなのはやっぱりアッチが出てくるお話です。アッチとのらねこボン・ねずみのチとキ、そして優しい女の子エッちゃんがでてくる、ほのぼのとしたお話です。ねずみの名前が「チ」と「キ」っていうのがナイスネーミングですよね!!

 

そんなおばけのアッチが主役の童話のひとつに「おこさまランチがにげだした」があります。

 

 

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このお話、私自身は子どもの頃好きじゃなかったんですよ。なぜなら、お話に出てくる男の子が嘘をつくからです。

 

病気の男の子が嘘をついてアッチを家まで来させます。男の子の口から出てくるのは空想のお話ばっかりで、アッチにかまってほしいことが見え見え…。

男の子が嘘だか空想だかで、人の気を引こうとするところが嫌でした。

だけど、私自身が大人になり、息子にこの童話を読んであげていると、この男の子が嫌いだとは思えなくなりました。

 

アッチも最初は男の子の嘘に怒っていました。けれど、途中から男の子の嘘に、「うそ」というのをやめました。アッチが男の子の話を聞いてあげると、男の子も元気を取り戻し、自分の言っていることが嘘かもしれないと言いました。そんな男の子に明るく接するアッチ。アッチの行動で男の子の嘘は嘘でなくなり、男の子も病気と闘うようになりました。

 

男の子が嘘をついてでも、アッチにきてほしかった気持ちを考えると、嘘が悪いとは言い切れないと思いました。そして、男の子の気持ちにが少し分かる気がしました。

 

私の夫は子どもたちにもよく怒る人でしたから、些細なことでも子どもたちは嘘をつく必要がありました。嘘をつく必要なんて全くないくらいちょっとしたことです。本を何冊読んだとか、宿題を何分やったとか。書いてて悲しくなりますが、本当に理解できないことでよく怒りました。

 

読書を習慣としない夫は、本をずっと読むことが気に入らないようでした。なので、一日に何冊も読むことを嫌っていたのです。そして宿題に時間をかけることも咎められました。なにより運動してほしいと願っていたようなので、読書中は体を動かさないから嫌だったのでしょう。なので、一時期、日中どう過ごしていたかを退社後に子どもたちに聞くことがありました。

 

そんな時、子どもたちは父親が満足する回答を言う必要があります。もし満足しない答えをしようものなら、そのことを責められます。嘘をつくのは、子どものせいではない、嘘をつかせる側が悪いのだと思いました。

 

親は子どもが嘘をつくと怒るでしょう。でも、嘘をつかなければいけなかった子どもの立場を思うと、怒っている場合なのかなと思います。まず、嘘をつかせてしまった自分を反省するべきだと思います。

 

子どもは自分を守るために嘘をつきます。けれど、嘘をつくことで傷つくこともあります。嘘がバレた時、必要以上に子どもを責めると、嘘をついた自分を責めます。嘘をつくことで、なんとか心を守ろうとしたのに、それが元でさらに責められ傷つきます。傷つくのはいつも子どもです。

自分が分別のある大人だと思い込んでいる親は、「嘘」がいかに悪い事かを声高に叫ぶことに一生懸命になり、子どもの心に寄り添うことができないのです。

心を守るための防衛本能からの嘘が責められる子どもはあまりにも可哀そうです。

 

 

「おこさまランチがにげだした」を読んで、男の子の嘘を責めなかったアッチをすばらしく思いました。息子はこの童話が好きでした。アッチの童話は数冊家にありますが、「おこさまランチがにげだした」が好きだと言いました。もしかしたら男の子の気持ちに共感するところがあったのかもしれない…と思いました。本音は分かりませんが。

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